前回の記事では、ランディングページへのネット集客方法について、その全体像や特徴を解説しました。
今回は、数あるWEB広告の中からどの手法を選べばいいかについて、全二回にわたって詳しく解説したいと思います。合わせて、費用対効果をあげる基本的な考え方についても紹介していきます。
第一回の本記事では、広告手法を選択する際に知っておくべきマーケティングのユーザー分類、顕在層と潜在層について紹介した後、リスティング広告(検索連動型広告)と純広告の使われ方について、その特徴や違いを詳しく説明します。
あらかじめWEB広告の全体像や基本をおさえておきたい方は、前回の記事を参考にしてください。>>ランディングページへの集客方法とは?WEB広告の基本をおさえよう
WEBマーケティングで考慮すべき2つのユーザー層:顕在層と潜在層
WEB広告の費用対効果を高め、ランディングページのCVを効率的に増やすにはどうすればいいのでしょう。
実はネットユーザーは、顕在層と潜在層という2種類の層に分類して考えることができ、どちらをターゲットにするかによって、広告のアプローチや費用対効果の考え方が大きく変わってきます。
ネット集客の方法について検討する際は、まずはこのことをおさえておくことが重要です。
- 顕在層:ニーズが顕在化している層
- 潜在層:ニーズがまだ潜在的な層
顕在層とは、ニーズが顕在化している層のことです。喫緊の課題や悩み、欲求を既に抱えている状態にあるユーザーを指します。一方で潜在層とは、ニーズがまだ潜在的で、表に現れていないユーザーを指します。
例えば、「顔のシワやたるみを目立たなくしたい」というニーズを抱えているユーザーは、化粧品メーカーにとっての顕在層です。
一方で、まだそのような気持ちを持ってはいないものの、潜在的に抱えていると考えられるユーザーは潜在層に当たります。この例であれば、顔のシワやたるみが気になりだす年代の、特に女性に多いと言えるでしょう。
ランディングページへの集客は、顕在層をターゲットにするのがセオリー
WEB広告を打つ際、費用対効果のことを考えずにやみくもに予算を投下するのは賢いやり方とは言えません。顕在層、潜在層、どちらをターゲットにするかをまずは考え、それぞれに対して効果的にアピールできるネット集客の手段を採用することが大切になります。
ランディングページへの集客を考えるなら、まずは顕在層をターゲットにするのが定石です。
ランディングページは、商品やサービスを販売する目的でつくられているため、ニーズが顕在化しているユーザーのほうが費用対効果が良くなる傾向にあるからです。
ランディングページは顕在層と相性が良い
ニーズが顕在化しているユーザーは、ニーズを満たす情報への感度が高く、商品やサービスにも興味をもってもらいやすいため、売上につながりやすいといえます。
一方で潜在層の場合、WEB広告に興味をもってランディングページに訪れたとしても、ニーズを十分に自覚していないことから商品に興味をもたれにくく、ランディングページだけで購買動機を高めて売上につなげるのは難しいでしょう。
それでは、潜在層はどういう場合にターゲットになり得るかというと、新商品の認知度を高めたり、企業のブランディング活動を行ったりするときに対象になることが多いです。
また、顕在層はどの企業も注目しているため競争が激しくなりがちなので、より大きな市場を獲得する目的で潜在層へのアプローチが行われたりもします。
WEB広告をつかって顕在層にアピールするには?
ここまでの説明で、広告の費用対効果を高めてランディングページのCVを効率的に増やすためには、まずは顕在層をターゲットにするのが良いことはお分かりいただけたかと思います。
それでは具体的に、顕在層にアピールするにはどんなWEB広告が適しているのでしょうか。
ここからは代表的な4つのWEB広告をとりあげて、顕在層および潜在層に向けた訴求の仕方について解説をしていきたいと思います。
まずは結論をまとめた表で全体像をご確認ください。
※代表的な4つのWEB広告について全体像や基本をおさえておきたい方は、前回の記事を参考にしてください。>>ランディングページへの集客方法とは?WEB広告の基本をおさえよう
代表的な4つのWEB広告それぞれの特徴
リスティング広告(検索連動型広告)で顕在層・潜在層にアピールする方法
リスティング広告(検索連動型広告)とは、検索エンジンにキーワードを入れて検索をしたユーザーに対して、検索結果画面に表示する形で配信する広告のことです。
例えば「ピザ 宅配 相模原市」と試しに検索エンジンに入力してみてください。表示される広告の内容はその時々によって異なりますが、このような形でテキスト広告が表示されるはずです。
リスティング広告は、好きなキーワードを指定して広告を表示させることができます。つまり、この「ピザ 宅配 相模原市」というキーワードで表示されている広告はすべて、広告主が意図して表示させているわけです。
さて、この「ピザ 宅配 相模原市」というキーワードを入力している人は、検索をしている時にどのようなことを考えているのでしょうか。
相模原市でピザの宅配を行っているお店を探していて、相模原市にピザを宅配してもらおうとしている可能性が高いと推測できますね。
宅配ピザを頼みたいというニーズが顕在化していることから、この検索ワードをつかっているユーザーは、ピザ屋さんにとって顕在層であると判断できます。
このように、リスティング広告ではキーワードをうまく選定すれば、顕在層に対して広告を表示させることが可能です。
リスティング広告は潜在層への訴求が難しい
次は潜在層に対して広告を配信することを、相模原市のピザ屋さんになったつもりで考えてみましょう。
潜在層は顕在層に比べてその数が多いので、さまざまなユーザー像を考えることができますが、便宜上ここでは「もしかしたらピザが食べたいかもしれない層」と定義しておきます。
潜在的に相模原市の宅配ピザを頼むニーズを抱えているということで、具体的なユーザー像を次の通り想定します。
- 宅配サービスを頼んだことがある
- ピザが好きでたまに食べたくなる
- 相模原市に住んでいる
そして検索キーワードを「相模原市 宅配 食べ物」に決定し、実際にキーワード検索を試して、広告を出稿しているサービスがあるかどうかを見てみます。
検索結果を見ると、さきほどと同様に宅配サービスの広告が並んでいますが、弁当やファーストフード、寿司など、食べ物のジャンルは様々です。
「相模原市 宅配 食べ物」という検索ワードで調べているユーザーは、宅配サービスをつかって何か食べ物を頼もうと思っていると推測できます。
弁当もファーストフードも寿司も、買ってもらえるチャンスがあり、広告をつかって上手くアピールできれば、ニーズを顕在化させることができるかもしれません。
つまり、このユーザーはどの食べ物のニーズも潜在的に抱えていると言えます。言い換えれば、「相模原市 宅配 食べ物」という検索ワードを入力しているユーザーは、ピザ屋さんを含む宅配サービス業者にとって、潜在層に当たるということです。
仮にこのキーワードで広告を出稿するなら、競合宅配サービスの中からピザの広告をクリックしてもらうために、広告の見出し文や説明文をつかって魅力的なメッセージを届けなければなりません。
顕在層をターゲットにする場合と比べると、これはかなりハードルが高いことです。まだ何を食べるか決めていない人に対して、限られた文字数でピザの良さを表現し、食べたいと思ってもらう必要があるからです。
リスティング広告は、顕在層には効果的にアプローチできますが、潜在層への訴求については弱い広告手法であると結論づけることができます。
リスティング広告(検索連動型広告)の特徴と顕在層・潜在層へのアプローチ効率
純広告で顕在層・潜在層にアピールする方法
純広告とは、特定のWEBサイトやアプリの画面上に配信される広告のことです。画像やテキストをつかったバナー広告や、動画広告などを配信することが可能です。
WEBサイトなどの媒体主と個別に交渉し、掲載する期間や支払い条件などを決め、取り決めの内容に応じて広告が表示されます。
アクセスが多い媒体ほど広告の訴求力が高まりますが、その分掲載料金も高くなります。有名なポータルサイトやニュースアプリなどが好例です。
純広告をつかって顕在層にアピールするには、掲載を検討しているメディアのユーザー属性をしっかり調べる必要があります。
メディアが独自に公開している広告メニューを読むなどして、どんなユーザーに広告を見てもらうことが可能かを把握すれば、ニーズが顕在化している層にアプローチすることが可能です。
例えば、ショッピングサイトの製品ページは、その製品の購入を検討しているユーザーが多く訪れるため、顕在層をターゲットにしやすい広告枠と言えます。
具体的には、テレビの製品紹介ページにテレビの広告を表示させれば、テレビの購入を検討している顕在層に商品をアピールできる可能性が高くなります。(図を参照)
引用:https://kakaku.com/kaden/lcd-tv/
純広告をつかって顕在層をターゲットにするときの課題
顕在層に対して広告を配信できるという点だけに注目すると、前述のリスティング広告(検索連動型広告)も純広告も大きな違いはないように見えます。
しかし、同じ顕在層へのアプローチでも、リスティング広告と純広告ではメッセージの届き方が異なるので、広告の費用対効果に大きな差が生まれることもめずらしくありません。
リスティング広告(検索連動型広告)は、顕在層がニーズを満たす目的で「能動的に」調べものをしているときに、検索した結果として画面上に表示されます。そのため、ユーザーの視線は自然と広告メッセージのほうへ流れます。
リスティング広告(検索連動型広告)は広告に注目してもらえる
一方で純広告の場合、ユーザーの目的はWEBサイトやアプリを利用することなので、広告を目にするのは「受動的」になります。視野には入りますが、意識的に集中して見てもらえるわけではありません。
純広告は視野には入るが注目して見てもらえるわけではない
能動的に情報を求めているユーザーに、広告という形で情報を提供するリスティング広告は「双方向のコミュニケーション」。そして、受動的に広告を目にしているユーザーに、なんとか振り向いてもらおうと広告メッセージを発信する純広告は「一方通行のコミュニケーション」と言えます。
リスティング広告(検索連動型広告)と純広告で顕在層にアプローチする場合の違いを、それぞれまとめておきます。
リスティング広告(検索連動型広告)で顕在層をターゲットにする場合
- 検索キーワードを使えば、高い確率で顕在層を特定できる
- 顕在層がニーズを満たそうとしている時に広告を表示できる
- 情報提供という形で広告を届けるので受け入れてもらいやすい
純広告で顕在層をターゲットにする場合
- 媒体のユーザー属性から顕在層の存在を推定する
- 画像や動画で注意を引かないと広告を見てもらえない
- 一方的に広告でアピールするため受け入れてもらいにくい
純広告をつかって顕在層にアプローチする場合は、これらの特徴をふまえたうえで掲載する媒体やクリエイティブを考える必要があります。
純広告をつかって潜在層をターゲットにするときのセオリー
純広告をつかって潜在層にアプローチする場合も、顕在層のときと同様、媒体のユーザー属性を理解するのが大切になります。
ただし潜在層の場合は、より多くの人に広告メッセージを届けられる媒体を選ぶことがポイントです。
よほどターゲットが絞られる高価格帯のものや用途が限定されるものなどを除き、たいていの商材はより多くの人を顧客として想定してつくられているはずです。
それに加えて、潜在層はユーザー属性でターゲットを絞り込むのが難しいため、不特定多数のユーザーに広くメッセージを届け、商品の知名度を高めたり需要喚起やニーズの顕在化を狙ったりするのがセオリーです。
より多くのユーザーに訴求しようとすると、当然ながら集客力のある媒体に掲載を依頼しなければならず、広告の掲載料金も高くなります。顕在層のように短期的な売上につながる可能性も低いので、中長期的な目線でしっかり予算を配分し、じっくり費用対効果を高めていくという姿勢が求められます。
純広告の特徴と顕在層・潜在層へのアプローチ効率
後半(第二回)では、アドネットワークやSNS広告を使って顕在層および潜在層にアプローチする方法を見ていきます。>>>ランディングページの広告効果を高めるネット集客方法の選び方【第二回】